2月の保護活動は、12月、1月に引き続き兵庫県川西市の天然記念物隣接エリアへの防鹿柵追加と、大阪府特別地域内にあるササユリ生息エリアの防鹿柵内の下草刈りを行いました。
また、今回はなんと、能勢町の岡田町長が参加してくださいました!
米マイクロソフト様の助成事業をきっかけに、妙見山のブナ林に興味を持って頂いたようで、視察を兼ねてご参加くださいました。お忙しい中、誠にありがとうございました。

【防鹿柵の設置】
今回の置場所は、1月に引き続き信徒会館星嶺西側の尾根南側に行いました。既設の防鹿柵を利用し範囲を広げる仕様としました。網は50mの長さがあり約3m毎にセパレート式の下の柱を設置していきます。


今回の防鹿柵設置場所の傾斜地に土手の部分がありシカの食害により地面が裸地化し土が流れています。防鹿柵の設置により、下層植生の回復が期待されます(既設の柵内との差を参照)。

設置した柱に網を張っていきます。この網は下の部分に、シカに破られないようにステンレス線が織り込まれたものを使用しています。多少値も張りますが、その分効果も期待できます。


網の下面は、ペグを打ち、シカにめくられないように固定します。シカはかなり食べ物に困っているようで、下の部分をめくり上げて無理やり柵の中に入ることがあります。ステンレスを編み込んだ網でも破られることはありますが、まずはここをしっかり押さえることでシカ柵を突破されるリスクはかなり減らせます。

能勢町の岡田町長にもペグを打って頂きました。

今回の施工で約140㎡の防鹿柵を確保できました。裸地化した傾斜地も囲い込んでおます。今後ブナの植樹と下層植生の回復を確認していきたいと思います。

1月の施工で一つ上のエリアに約60㎡、12月にこの北側のブナ林入口に約150㎡の防鹿柵の設置ができました。
【ササユリ生息地の下草刈り】
今回はササユリ生息地の下草刈りも行いました。
大阪府の特別地域にあるこのエリアは、毎年行っていた下草刈りがササユリの生育に寄与していたようで、10年ほどの活動を続けるなかで、3年前からササユリの花が確認ができ、昨年は100個以上の花が咲きました。
本来、防鹿柵内の下草刈りの目的は、植樹したブナ幼木の日当たり確保のために行います。このあたりのブナの幼木はすでに1mを超え順調に成長してきており、ブナの日照確保については下草刈りはもう不要とも言えますが、今回はササユリの生育を主目的としてこのエリアの下草刈りを行いました。

下層植生はササが多いです。20~30cmの高さがあり、刈った場所との差がよくわかると思います。

植樹したブナは2mに届くものもあります。草刈り機で切らないように、根本はカマで丁寧に刈ります。目印のリボンも付けております。

このエリアのブナは、自然に近い競争を促す意図で複数のブナをまとめて密植をしており、これを「巣植え」といいます。
当会発足時に沢山の実生苗があったので、自然環境に近い「巣植え」を実施したのですが、今考えるととても贅沢な植え方ですね。(発足当時は潤沢に苗が確保できており、ここまでブナの苗が確保できない年が続くとは予想もしていませんでした。)
さて、この「巣植え」ですが、自然環境のなかであればお互いのバックアップや、シカなどの食害から多少は守れるなど利点も多い植え方なのですが、今回のようにシカ柵で囲って、ブナにとって育成しやすい環境を作った場合、お互いを守るメリットよりも、それぞれの成長を阻害するデメリットのほうが目立ってきます。
潤沢にブナの苗があるならばこのままにしておく方が、百年後や二百年後のバックアップという意味では良いのですが、ブナの苗が枯渇しそうな昨今の妙見山においては、この貴重な苗を遠い未来のバックアップに使うよりは、山のもっと多くの場所に植樹するための苗として使いたいという思いがでてきました。
実際、この防鹿柵には、8ヶ所に各2~3本ずつ合計19本ものブナが植えられていますが、順当に育てば二百年後はこのシカ柵内で2~3本の大きなブナが生育し、残りは小さいままか、成長を阻害され多くは枯死する可能性が予想できます。(但し、台風などで大木が倒れた場合、バックアップのブナが急成長するので、完全に無駄というわけではありません。)
他のシカ柵でも同様の植樹を行っている場所があり、貴重な幼木の確保のため、様子を見ながら時期を見て分割することも計画したいと思います。

綺麗に刈り取りを実施しました。今年もササユリの花が観察できれば嬉しいですね。


【能勢町岡田町長のご視察】
今回、ブナ守の会にも助成いただく米マイクロソフト様の助成金。実は現地での環境保全に使われるだけではなく、行政や地域を巻き込む継続的な環境保全の枠組みづくりも大きな目的の一つとなっております。
そんなことで、マイクロソフト様の助成事業をきっかけに能勢町をネイチャーポジティブな町にすべく、能勢町の岡田町長も視察を兼ねてブナ守の会にご参加頂く運びとなりました。
岡田町長には今回の活動である防鹿柵の設置をお手伝いいただき、その後、副会長、事務局長からブナ林の案内、状況の説明をし、妙見山ブナの希少性、豊かな自然、課題を知って頂く機会となりました。




【今後の予定】
- 保護活動日 ☆3月17日(火)、4月18日(土)
- 時 間 10:00~12:00
- ☆:マイクロソフト助成事業として「防鹿柵設置体験」のイベントとして開催
- 詳細はこちらをご覧下さい→ bunamori.org/protect/3281/2026/02/18/
2026年2月25日