9月の保護活動は、8月の休会により2ヶ月ぶりに集まりました。内容は防鹿柵内の下草刈り、ブナの育苗状況、作業道付近の倒木、ササユリの実り確認と盛りだくさんの活動となりました。

防鹿柵内の下草刈り

防鹿柵内の下草刈りは兵庫県側を実施しました。このあたりは日当たりが良く、鹿も食べないイワヒメワラビが密集しています。ブナの幼木の日当たりの妨げとならないように草刈りを実施しています。幼木周辺はカマで刈り、周辺は草刈り機で実施しています。

草刈りによりブナの幼木が現れました。

草刈り途中ですが、イワヒメワラビの勢いが分かると思います。

日当たりではブナ幼木の生育に支障はありますが、土壌の乾燥防止の効果があり雨の少ない今年は様子を見ながら草刈りをしてきました。また斜面の土壌流出の効果もあります。

成長によりいずれ草刈りは不要となりますが植樹時期によりブナの成長にも差がありますので、それぞれの様子を見ながらの管理が必要です。

ブナの育苗状況

育苗所の状況ですが、毎年夏の水やりが課題となっておりましたが、今年は水やり装置を設置したおかげで元気に育っています。今年保護した実生苗も順調に育っており、生息地での育苗はやはりブナの育成環境に適していると再認識しました。

今回の整備はポット内の除草と、用土としてまさ土の補充を行いました。

少なくなった用土の補充も行いました。

タイマーによる水やりを導入しました。ノズルの調整は思いのほか難しく、適切に水がやれているのかは微妙ですが順調に育っています。

ブナの倒木について

先のホームページでも報告しておりますが、9月に特別地域内のアカガシ広場に繋がる作業道付近でブナの倒木がありました。ブナは裂けるように折れ、作業道を塞ぐように倒れました。

先端は裂けるけるように折れています。残った根本側の木の幹周りの大きさは3.3mありました。

この写真は、倒木時の写真で中央左側の部分が折れた先につながります。

今回は作業道を確保するためその部分で切断しました。

切断部の大きさがわかると思います。倒れる前の立っていた姿は確認できませんでしたが、幹の中央が太くなっていたようです。

幹の内部は、腐朽が進んでおり空洞となっています。この部分の樹径を計測すると約4mありました。この状況から、折れたのは仕方がないと思われますが、大きなブナがまた倒れてしまいました。今年度は、11月にブナの毎木調査を予定しており現在の実態を把握したいと思います。

ササユリの様子

6月の開花から3ヶ月となりました。多くのササユリの実は大きくなっていました。

わかりにくいですが、ブナの幼木の横でササユリの実が育つ様子です。

拡大するとこのような状況です。次回の活動日には種が見られるかもしれません。昨年からの観察で、妙見山でも防鹿柵内では自然に生息が広がっていることを確認できていますが、種が採取できれば保護に繋がる活動に繋げていきたいと思います。

その他のトピックス

① アカガシのドングリの落下

 妙見山の星嶺(信徒会館)西側にある川西市と大阪府の天然記念物看板付近から北極星ノ森に繋る遊歩道にたくさんのアカガシのドングリが枝ごと落ちているのを確認しました。詳しい会員によると、これはゾウムシの一種であるハイイロチョッキリの仕業であるとのことです。成虫は確認できませんでしたが、ドングリに産卵し枝の部分を切り落とし、幼虫は土中で越冬するようです。

今まであまり意識していませんでしたが、注意してみるとこのような枝がたくさん落ちています。ハイイロチョッキリの行いはアカガシの生態系に大きく影響しない「森のおすそ分け」と思われますが、森の循環で何等かの役割を果たしているのかもしれません。

よく見るとドングリに穴が開いています。枝も鋭く切られています。ネット上にいろいろ動画もありますので興味がありましたら検索頂くのも良いと思います。

② シカの寝床?

 大阪府の特別地域のアカガシ広場から尾根沿いに下ったところに、シカが休んでいたのではないかと思われる痕跡がありました。地面には強風で落ちたブナの枝が多く散乱していますが、その部分は枝などが綺麗に取り払われ落葉が押しつぶされている状況でした。

 沢山のフィールドで経験のある会員によると、シカの寝床ではないかと言うことです。森の見学会でも、ブナの森は堆積した落葉でふかふかで横になられる方もおられるので、シカにとっても居心地が良いのかもしれません。定着はしてほしくありませんが、、、

③ マイタケ発見?!

 ブナの木の根元に発生するキノコとして食用も可能なトンビマイタケが確認できました。きのこ図鑑で調べるとマイタケに似ていますがサルノコシカケ科で、幼菌のものは食べられますが成熟したものは硬くて食べられないそうです。別場所ですが、昨年9月の保護活動でも確認していました。

成熟した状態と思われます。

【今後の予定】

  • 保護活動日 10月18日(土)、11月18日(火):ブナの毎木調査予定
  • 時 間   10:00~12:00
  • 体験、見学など下記「detail」から申し込み願います。

2025年9月19日