先日のブナ保護活動では「愛 Deer 料理教室」代表の林真理先生にお越しいただき、シカ害の影響や、鹿をとりまく状況について勉強会を開きました。
大変興味深い内容でしたので、簡単にではありますがまとめておきます。聞きながらのメモですので間違っていたらご指摘ください。
◆イントロ
・国の調査によると、日本国内における鹿の頭数は年々増えており、鹿による被害も比例して増加。鹿の増加は世界的な傾向だが、中国など一部地域では乱獲のため減っており、それをエサとする虎なども激減。
・頭数を抑えるには、年間50万頭の駆除が必要だが、現在はその半分以下の駆除率。
・兵庫県では3.5万頭/年の駆除がなされているが、食用など利用されている鹿は3%以下で、あとは山中に放置。
・
◆食用としてのシカ
・イギリスでは、貴族など上流階級で誕生日のお祝いに鹿の足肉を送る。
エリザベス女王も好んで召し上がるが、一本10万円を越えるため、財政を逼迫するとの理由で近年は自重。
・イギリスを含めたヨーロッパでは超高級食材
ジビエ料理(ゲームミーティング)としておもてなしをする代表食材。
※欧州の貴族は自分の広大な庭で狩りをし、その肉で客人をもてなした。
・インドでは鹿は最良の肉として珍重される
・中国でも薬膳料理の最高峰の肉として重視
・日本でも牛やブタよりも早くから食べられており、縄文時代から一家族週に1~2頭はシカを食べていた
・昭和初期までは日本国内のシカは乱獲のため頭数が激減していた。その後、保護動物に指定されたのと、天敵であるニホンオオカミが絶滅したことも影響してか、現在シカは増加の一途をたどっている。
◆鹿肉について
・低脂肪、高タンパク、鉄分やミネラルが豊富
→美容にも健康にもいい
・野生の鹿はアレルゲンが少ない
・ブタよりも病気が少ない。(ブタと同様、熱を通す必要はある)
・厚生省のガイドラインもあるため、肉の扱い方も確立
◆シカの活用
・シカの「にかわ」
日本古来より伝わる最高級の「にかわ」。文化財の修復にも必須だが、国内で安く安定的にシカが確保できないため国内業者は廃業。復興しようと取り組む企業もあるが、道は険しい。
・革細工「印傳」
日本古来より伝わる伝統工芸。シカの皮にウルシで模様をつける。国内の鹿革が安く安定的に確保できないため、現在はほとんど中国産のシカ皮を輸入。
◆課題
・シカが必要な人に適切な状態で届けられる流通体制がない
捕獲→加工処理→解体→調理、等
EX)調理したとき臭みが無いようにするには、夏なら死んでから1時間以内に処理しないといけない。
EX)革製品にするためには適切に皮を加工し乾す必要があるが、できる場所や人がいない。
・圧倒的な情報量の少なさ
・猟師はシカを大量に手に入るが、適切な処理の仕方や料理の仕方が分からない。
以上、勉強会のまとめです。
2015年9月22日