11月18日は当会主催の「妙見山のブナ林 シンポジウム&観察会」がありました。

今回は台風21号のため、大径木のブナが何本も倒れ、それに巻き込まれてシカ柵が破られ、(対応にばたついている間にシンポジウムのご案内が遅れたり)と大変でしたが、大勢の方に励ましの声を頂き、そしてこの場に集まって頂き、本当に感謝しかありません。

今回は台風の被害があったので悲しい話になると思いきや、台風によってできた森の中の光の穴(=ギャップ)による新しい命の誕生の可能性に触れ、大きく未来が開かれたシンポジウムとなりました。

現状は明るいことばかりではありませんが、私たちが動くことで未来は確実に変わる手応えを感じられたのではないでしょうか。

これをご縁に一緒に素敵な未来を作って行きましょう。

学術的な立場から丁寧に新鮮な知見を頂けた栃本先生、あたたかいまなざしと素敵なトークで場を盛り上げて頂いたFM COCOLOの加美さん、そしてこの場に集まって頂いた全ての皆様、本当にありがとうございました!

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大勢の方にお集まり頂きありがとうございました。

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ブナの倒木の前で。

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あたたかいトークで場を盛り上げるFM COCOLO DJの加美幸伸さん。

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栃本先生からは妙見山のブナ林の特徴を様々なデータと写真を使って分かりやすく説明して下さいました。さらに、後半の台風による影響とギャップダイナミクスによるブナの更新の可能性は、今後の私たちの活動の大きな支えとなりました。

シカによる影響で笹(やその影響でネズミも?)の少ない森はブナ林としては特殊ですが、シカにさえ注意すれば、ブナにとっては比較的次の世代が育ちやすい環境なのかもしれません。

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引き続いて、事務局長より台風被害の報告と、今年度の事業報告が行われました。

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トークセッションでは加美さんからの素朴な疑問に栃本先生と事務局長が答えていきます。質問の切り口がとてもあたたかく加美さんの人柄があらわれて、全体的にほのぼのとしつつも力強く前向きなトークセッションとなりました。

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シンポジウムの壁面には貴重な資料が並べられ、妙見山のブナ林の特殊性がよく分かるようになっています。

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午後からは日本一の里山と妙見山のブナ林の観察会でした。

まずは、吉川八幡神社で鎮守の森として守られてきたコジイの自然林を見学します。

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コジイは小さい実ですが、人間も食べられる美味しい実がなるそうです。

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妙見山の麓の山では池田炭(菊炭)として有名な台場クヌギの森が広がっています。菊炭は茶の湯の公式の炭として世界中で使用させる高級な炭で、文献から確認できるだけでも500年以上の歴史があります。

昔は、止々呂美(箕面)、吉川(豊能町)、黒川(川西市)、田尻(能勢町)と広く里山が広がり、実際に炭焼きがされていましたが今では後継者不足で黒川と田尻の一部でしか作られていません。

台場クヌギはその名の通り、クヌギの幹を残して炭焼きに使う枝だけを切っていくことでできる人工的なクヌギです。継続的に炭をとるため合理的な形を追求した結果このようになったと考えられます。

7~8年に一度枝を収穫するので1年目の森、2年目の森~8年目の森まで様々な状態の森が常に同時に存在している特殊な森=里山を形成していきます。

もとは人工的な森ですが、これが何百年も続くと自然がこれに合わせて進化していき、通常の天然林よりも遙かに生物多様性に富んだ森になっていきます。

人が手を入れ、自然と共生していくことでより多くの生き物が生きられるというのはとても興味深い現象で世界的に注目されています。

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山のあちこちにはかつてあった炭窯の跡が残っています。

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ケーブル・リフトで妙見山を一気に頂上付近まで登ると原生林が広がります。

栃本先生の右手に見えるのは、着生植物のヒメノキシノブです。ヒメノキシノブが木に生えるには長い時間にわたって安定した森である必要があります。このような着生植物が森のバロメーターにもなっているのですね。

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鹿除けネットの中のブナの苗が元気に育っています。鹿除けネットの大きさや苗の植樹の仕方にも、ブナの生存確率を少しでも上げるための様々な工夫があります。

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今回の台風21号で残念ながら倒れてしまったイヌシデの巨木です。ブナのうろから生えていたイヌシデですが、イヌシデがなくなった跡のブナにはぽっかりと大きな穴があいていました。

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今回の台風21号で倒れたブナです。縦横無尽に空に伸びた枝が印象的なブナでしたが、倒れてみるとその巨大さに圧倒されます。

この巨木が倒れたことで、空に大きな穴があき、光が大量に差し込んできます。この穴をギャップと言いますが、この光が無いと新しいブナが育ちません。この光を受けて新しい命が育っていくことをギャップダイナミクスと呼びます。

ブナが倒れることで初めは悲しい気持ちになりましたが、未来を考えたとき、ここは新しいブナが育つゆりかごなのだと思いを新たにしました。

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妙見山のブナ林は暖かいところが得意な木(照葉樹)と寒いところが得意な木(夏緑樹)が混じって生えているのが特徴です。

特に妙見山には大きなアカガシが群生しているポイントがあり、このあたりは尾根の形状によりたまたま太陽光があたりやすい場所ができ、そのため暖かい場所が得意なアカガシが群生しているのではないかと考えられています。

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最後に、アカガシの前にあるブナの実生苗の前で記念写真を撮りました。

足下が悪かったにも関わらずご参加下さりありがとうございました。

2017年11月21日