5/30に日蓮宗霊場能勢妙見山の境内である山頂と信徒会館「星嶺」において、関西テレビ様主催の「妙見の森にありがとうフェスティバル」が行われましたので、ご報告をいたします。

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このフェスティバルでは、能勢妙見山ブナ守の会へのみどり基金の受贈式と、それに関連して森や環境に関するコーラスや妙見山のブナ林を考えるシンポジウムなどを行いました。

ブナ守の会は基金を受ける立場ではありますが、関西テレビ様と協力してイベントの準備や運営を行いました。

まず最初に、みどり基金の受贈式がおこなわれ、引き続いて今回の基金で作らせて頂いたシカ柵の一つにブナを植樹しました。

このブナは、服部先生が22年前、いち早く妙見山のブナ林の危機に気付き、「人と自然の博物館」で大切に育てて頂いた妙見山で採れたブナです。22年の間、大切に育てて頂いたブナを植樹し、これからのブナ林復活のスタートとなればと、ブナ守の会のメンバー一同、気持ちを新たにいたしました。

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その後、山頂に生えているブナの実生苗を保護する活動をいたしました。

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山頂には250本以上の実生苗があることが先日からの調査で分かりましたが、このまま放っておくと鹿害などでそのほとんどは育つことができません。そのため、苗を保護し成長させ、防鹿柵の安全なところに再び植樹します。

苗の保護の仕方については、育苗のプロである岡山県の國忠様に駆けつけていただき、ご指導賜りました。(國忠様は国内有数の育苗のプロです!)

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注意点など丁寧に教えて頂き、その後みんなでチャレンジしました。

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午後からの会場となった星嶺のテラスではプチマルシェも開かれ、オーガニッククロッシングやみくり食堂のみなさまが出店して下さいました。地元、猪名川の野菜を使ったやさしい料理やジュースに、お昼やおやつの時間もみんな楽しく過ごすことが出来ました。

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ほかにも、ブナ守の会ではメンバーと一緒に歩くブナの原生林というイベントも企画しました。

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同時にのせでんアートライン妙見の森2015に出展予定の、倒木したブナを使った家具アートのプレ展示も行われ、妙見山のブナ林はさまざまな形で発信できるという可能性を感じました。

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ちなみに能勢妙見山ブナ守の会でも、星嶺の一部をお借りして展示を行いました。

展示内容としては、私達の活動の軌跡である「ブナだより」のバックナンバーや妙見山頂の倒木したブナの年輪調査の経緯と結果をご紹介いたしました。

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星嶺の地階ホールでは妙見山の森を考えるシンポジウムが行われ、それに先立ち、木にまつわるコンサートが行われました。

全日本合唱コンクールで10回以上の金賞をとった実績のある豊中混声合唱団と豊中少年少女合唱団による合唱はまさに圧巻の一言でした。特に、谷川俊太郎さん作詞の「木を植える」という楽曲は今回のテーマにぴったりで、来場者の中には涙を流している方もいました。

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合唱のあとは、みどり基金の運営委員長の大阪府立大学教授 増田昇先生による基調講演とシンポジウムがありました。

基調講演では「都市住民にとっての妙見さんブナ林の意義」について解説して頂きました。都市の緑化というのは都市だけで完結するものでは無く、都市を取り囲む森林とともに歩んでいく必要があり、近年荒廃する森林をどのように保全していくのかが大きな課題であるという内容でした。

特に印象的だったのは、世界中の様々な場所や人種のかたにアンケートをとったところ、ブナ林の明るく美しい森は、住む場所や人種に関係なく好まれたという事でした。大阪府下のブナ林は和泉葛城山と妙見山の二箇所しかなく、大阪からほど近い妙見山のブナ林は大阪市民にとってもとても大切だということ、改めて妙見山のブナを守る価値の一端を感じて頂けたのではないかと思います。

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最後のシンポジウムでは、豪華ゲストが出演して下さり、大阪府の森林の権威である増田先生はじめ、北摂一帯の森林について広く深い知見を持つ生態学の兵庫県立大学名誉教授 服部保先生、林業や樹木医の指導もしている森林の自然再生のスペシャリストである髙田研一先生、当会の副会長であり北摂里山大学の講師も勤める信田など、妙見山の森の現状とこれからを考える上で最高のメンバーに集まって頂きました。

シンポジウムでは森林の置かれた現状と対策、そして今後のボランティア団体のありかたなど、多岐にわたって議論が繰り広げられ、それぞれの立場や視点から問題に切り込んで下さりました。

難しい問題にも関わらず、簡単な言葉で分かりやすく語って下さったので、専門家でない私達にも、今人類がどこまで分かっていてどこが分かっていないのかの一端が垣間見られる、知的好奇心がどんどん膨らんでいくようなシンポジウムとなりました。

以上、フェスティバルの一端ではありますが、素晴らしい方々と時間を共に出来たイベントとなりました。残念ながら来られなかったかたも、その一部を感じて頂けたのではないでしょうか。これからも共に妙見山のブナと自然を守っていけたらと思います。会員は随時募集しておりますので、気になる方は事務局までお問い合わせ下さい。

2015年6月1日